
大学生だった僕は友人の勧めで中古の車を買った
友人曰く、車がないと充実した学園ライフがおくれないそうだ
ミニクーパーという赤い小さな車だった。
安いかわりに年式もけっこう古いけど
僕はなんだか一目見てこれに決めたんだ
ある日、車のシートの下から一枚の写真が出てきた。
そこには海と、街をバックにミニと女の子が写っていた。
前のオーナーだろうか?
カバンに入れて毎日眺めた
大学の皆がばからしいと言う、無理だとも
写真の街はどうやら尾道というらしいということが分かった
僕はその街に彼女を捜しに行こうとしていたのだ
手がかりは一枚の写真と、このミニという小さな車だけ
友人があきれたという顔でため息をつきながら
しゃーねーなぁ、誰か俺の代返たのむわぁ
と、言うなり車の助手席に乗り込んだ
車を買えって言ったの俺だしなぁ付き合うよ
それにおめぇは方向音痴だからなぁ
こうして二人で写真の街への旅が始まった
いままで物事に対してそんなに積極的ではなかった自分が
こんな行動に出ることに友人も、自分も驚いている
でもなぜか心が動いたんだ
なんだか不思議なことが起こる気がして
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